朝、炊きたてのごはんをよそう。
いつもの白いごはんが、古伊万里の小さな飯碗に入っただけで、少し違って見える。
焼き魚を一切れ。 卵焼きを二切れ。 昨夜の残りものを小皿に少し。 そ
れだけの朝食なのに、食卓に「今日はこれを使おう」という小さな選択が生まれます。
江戸後期につくられた古伊万里には、現代の工業製品とは違う魅力があります。
同じような柄に見えても、線の太さや色の濃淡、筆の運び方が少しずつ違う。
完全に同じものが並ぶことは、むしろ珍しい。
そこにあるのは、「古いから高価」という価値だけではありません。
長い時間を経ても残り、誰かの食卓で使われ、また次の人の暮らしへ渡っていく。
その時間そのものが、器の魅力なのです。
最近では、古着を選ぶような感覚で、古い器を選ぶ若い世代も増えています。
「新品にはない柄が好き」
「一点ものだから楽しい」
「料理をきれいに見せてくれる」
そんな感覚から始まってもいい。
古伊万里を骨董品として遠くから眺めるのではなく、毎日の朝食で使ってみる。
パンをのせてもいい。 ヨーグルトを入れてもいい。
季節の果物を盛ってもいい。 器の使い方に、決まりはありません。
古い器が現代の暮らしに戻ってくるとき、そこには新しい価値が生まれます。
古いものを大切にすることは、昔の暮らしをそのまま再現することではない。
今の自分の暮らしに取り入れて、もう一度楽しむこと。
それもまた、器を未来へつなぐひとつの方法なのかもしれません。
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